看護師として働きながら3人の子どもを産んだ私が、毎回ドキドキしながら経験した「妊娠報告」の話をしようと思います。
結論から言います。
妊娠報告は、安定期まで待たなくていいです。むしろ早い方がいいです。
その理由を、自分の失敗も含めた3回の体験とともにお話しします。
目次
1人目:看護師4年目。「まあまあ無難だった」報告
1人目の妊娠は、看護師4年目のときでした。 いわゆる「安定期」と呼ばれる週数と、定期面談のタイミングが重なったので、面談の最後に師長に報告しました。
師長の反応は「お、そうなの?おめでとう」とあっさりしたもの。 悪くない反応だと思ったし、ホッとしました。ちなみに結婚していて、子どもがいる方でした。
その後、病棟会で師長から周知事項のひとつとして、サラッと全体に伝えられました。
でも、その瞬間の空気が忘れられません。
参加していた同僚から「おめでとう!」という声は上がりませんでした。 「そうなんだ」という、なんとも言えない静けさ。 「おめでとう」と「人が減る…」という落胆が入り混じったような、あの気まずさ。
あれはしんどかったです。居づらかった、早く次の話題にいってくれって感じでした。
どの部署でも似たようなものだと、後になってわかりました。その場で拍手が起きるような職場は、ほとんどありません。言っていいのか迷う空気と、現場の負担を心配する空気——それが混ざって、シーンとなるんです。
しかし、仕事中は周りがよく気にかけてくれたので、業務上は問題ありませんでした。ちょうどプリセプターをしていましたが、担当のプリセプティが私より先に妊娠していたおかげ(?)で、引き継ぎの心配も不要でした。ただ、看護研究は行っていたので、抜けるのが申し訳なかったです。計画書が完成し、これから症例を集めていく段階でした。データ整理など、家でできることはできる限り協力するようにしました。
「まあまあ、無難に報告できたかな?」——そう思っていました。 でも振り返ると、これは運がよかっただけだったと今は思います。
2人目:看護師6年目。副師長に「なんで先に言わないの」と言われた話
2人目は6年目のとき。部署が変わっていたので、1人目の時とは違う師長への報告でした。ちなみに独身の方。厳しくシゴデキ上司。
この時も、タイミングは安定期に入ってから。「報告があります」と師長に時間をもらい、報告しました。 「あらそう、おめでと。いつ?」という反応でした。
「みんなへの報告は自分でしてね」と言われたので、朝の申し送りの最後に自分の口から伝えました。
「私事ですが、妊娠しました。予定日は○月頃です。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします」
またシーン、となりました。まぁ、1人目の時の経験があったのである程度予想はしてましたけど、正直イラッとしてしました。別に全員に祝ってほしいというわけではないですが、勇気振り絞って言ってるのに、何のリアクションも無いのかと。
でも申し送り後、個別に「おめでとう、無理しないでね、何かあったら言いなよ」と声をかけてくれた同僚がいて、それが救いでした。
同じ女性ばかりの職場で、これは辛い。同じように思う方は多いと思います。なんでこんな風土ができてしまったのでしょうね…。女性ばかりの職場だからとはいえ、味方は多くありません。普段から仲の良い同僚や育児経験者の同僚はもちろん味方になって祝ってくれますが、そもそも他人の妊娠出産に関心が無い人もいます。関心が無いならまだしも、『また人減るじゃん。夜勤もできなくなるし、こっちの負担増えるんですけど』と思う人もいます。迷惑をかけてしまうのはもちろん事実なので、何も言えません。が、女性が看護師を続けていくためには、どうしても起こりえる状況ではあるのでお互いの理解は必要だと思います。
私自身、これまでに妊娠した同僚のサポートをたくさんしてきましたが、負担が増えて迷惑なんて思ったことはありませんでした。むしろ安全に妊娠期間を過ごしてほしいと思っていました。
100人いたら100人に祝われることはないだろうな、という気持ちでいることで精神の安定を保っていました。
ただ、問題は他にありました。
副師長に呼ばれ、こう言われました。
「私、聞いてないんだけど。師長からも何も聞いてないんだけど。先に言ってくれないと、いろいろ考えないといけないんだから。」
正直、驚きました。師長に報告したら、管理職である副師長には当然伝達されていると思っていたからです。
でも違いました。報告の順番に、公式なルールなんてありません。それは職場のルールではなく、その人個人のルールだったんです。
その後、その副師長には目をつけられて、産休まで色々と大変な思いをしました。それでも同僚たちに助けられながら、なんとか乗り越えました。
3人目:看護師12年目。初めて「報告してよかった」と思えた
3人目の時は、また別の部署でした。
妊娠がわかる前から、体調が悪くて何日も休んでいました。めまいで起き上がれない日が続き、色々と検査した結果、悪阻による体調不良と判明。妊娠初期だったんです。
数日の病休明けの朝、申し送り前に師長に受診結果を報告するタイミングで、妊娠のことも同時に伝えました。この時は、スタッフ間ラインで繋がっていたので、事前に師長に「病休明けの朝に病休の結果を報告します」と伝えていました。
師長の反応は——
「なんとなく、そうなんじゃないかなって思ってた〜。おめでとう。体調どう大丈夫?」
この瞬間、3人目にして初めて「報告してよかった」と思いました。
ちなにみ今回の師長は独身の方で、ワークライフバランスとスタッフたちの健康に気を使ってくださる方でした。
ただ、報告の翌日から出血してしまい、1ヶ月ほど再び病欠になりました。その間、師長がスタッフ全員に妊娠と出血のことを伝えてくれていました。
復帰したとき、みんなが心配してくれました。業務内容の調整にも、快く協力してもらえました。
長期間休んで本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、早めに報告していたことで、師長が職場環境を準備してくれていました。それによって、休んだことによる後ろめたさにつぶされずに復帰できたと思います。師長始め、同僚のみんなには感謝の気持ちでいっぱいでした。
そして、産休までの期間は、体よりも頭を使うポジションに配置してくれて、本当に助かりました。スタッフと一緒にどんな看護をするか考えて実践したり、外部との連携を密にしたり、これはこれでいろんな場面で矢面に立つ責任が生じたので精神的なストレスは多かったですが、こういう形でも仕事ができるんだ、と新しい発見がありました。
3回経験して気づいたこと
3回とも部署も上司も違いました。うまくいった報告は、正直一度もありませんでした。 でも、3人目でひとつ確信したことがあります。
早く報告することは、自分と赤ちゃんを守ることに繋がる。
看護師の仕事には、妊娠中に避けるべき場面がたくさんあります。
- 重症患者の介助や力仕事
- 抗がん剤の取り扱い
- 放射線への暴露
- 感染症患者のケア
- 夜勤や長時間の立ち仕事
これらの業務調整をしてもらうためには、妊娠していることを職場全体が知っている必要があります。
以前、妊娠を職場に伝えていなかった同僚が、ある日突然「切迫流産になりかけているので入院します」となったことがありました。現場は混乱し、「妊娠してたの知らなかった。いろいろ任せてたから、無理させちゃったかも」と、自分を責める同僚もいました。
誰も悪くありません。でも、早く伝えていれば防げた可能性がある場面でした。
「安定期になったら」はもう古い
「安定期になったら報告する」という慣習は、今も根強く残っています。 でも、医学的に「安定期」なんてものは存在しません。
むしろ妊娠初期は、流産リスクが最も高い時期です。体に無理をさせてはいけないのは、安定期よりも初期の方だと思います。
私は今、中間管理職の立場にいます。正直に言います。
妊娠報告を聞くと、嬉しいです。 更に、早い時期に教えてもらえると、「信頼してくれてるんだ」と感じて、より嬉しく思います。師長もそう思っている方が多いです。
なにより、業務調整を早く始められることで、その人が無事に出産できる環境をつくれます。それが管理職としての責務だと感じています。
おわりに
妊娠報告が怖いのは、あなたのせいではありません。 「迷惑をかける」という罪悪感や、職場の反応への不安は、多くの看護師が感じることです。
でも、赤ちゃんを一番守れるのは、お母さんであるあなただけです。 代わりのきく人なんていません。
けれど、それを前面に出しすぎると反感を買うのはもちろんなので、みんなが支えてくれていることを忘れずにいくことも大事だと思います。
妊娠がわかったとき、または母子手帳をもらったとき——そのタイミングで、勇気を持って報告しましょう。
喜んでくれない上司がいるのも現実です。それでも、報告することがあなたと赤ちゃんを守る第一歩になります。
3回の妊娠を経験して、やっとそう確信できました。 同じ悩みを抱えているあなたを、応援しています。
この記事を書いた人:看護師歴15年以上・3児の母。現在は中間管理職として後輩看護師をサポートしています。
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